箱根板橋 三淵邸・甘柑荘
「この家は簡単ではあるが清楚である」 虚飾を嫌い、内面を磨いて客をもてなす、茶人忠彦の精神を反映した素朴ながらも洗練された数寄屋建築
”内面を磨いて客をもてなす”は、カウンセラーとして大変染み入る言葉です。
”虚飾”は、他者に自己を良いように見てほしいため、うわべや体裁を整えることで、自分自身をよく見てもらおうと無理をすることです。
カウンセリングでは、ありのままの自分を受け入れることがとても大切です。素の自分自身に向き合えるためには、こうした素朴な自然の中に身を置いて季節を感じることも有効だと実感いたしました。30分足らずの滞在でしたが、ふと我に返ることができた貴重な時間でした。
『三淵邸・甘柑荘』(小田原市板橋)は、初代最高裁判所長官・三淵忠彦(1880~1950)が昭和初期に別荘として建て、晩年を過ごした数寄屋家屋です。
茶室を備えた屋敷の南に広い芝庭、まわりに花木や紅葉、東には蜜柑、夏蜜柑、檸檬、金柑や梅が植えられ、往時の数寄者らの趣味を今に伝えています。
はて?
NHK連続テレビ小説『虎に翼』ヒロインのモデル三淵嘉子ゆかりの地でもあります。私はテレビは見ておりませんでしたが、日本で初めて法曹界に飛び込んだ女性として三淵さんを知りました。
ドラマので主人公が時々「はて?〇〇〇~」と話す場面があるそうです。カウンセリングでもコミュニケーションでも、〇か✖かだけではなく、双方が納得のいく、あるいは一応の決断や決着を迫られるときには、この「はて?」はを使ってみるのも一案かもしれませんね。
連続テレビ小説『虎に翼』の脚本家、吉田恵里香さんインタビュー(以下引用)
寅子の口癖“はて”に込めたメッセージとは?「間違える主人公」や「働く人をケアする人」を描きたかった。(中略)「いろんな世の中の疑問を主人公が話すときに、『私は疑問を持っています、対話しましょう』となることばが欲しいと思いました。あまり強すぎることば、『あなたは間違っています』という印象を与えることばだと、けんかになってしまったり、そこで終わったりしてしまう。そうならず、『私は納得してないけど、会話をしたいです』というサインとして考えた言葉が『はて?』でした」