カウンセリングアプローチ①ナラティブ

カウンセリングのアプローチの一つにナラティブアプローチがあります。

ナラティブとは、物語や語りという意味を持ちます。

病気は社会との相互作用の中で形成されると考えられ「社会構成主義」の考えに基づいています。

例えば糖尿病の患者様がいるとします。

医学的知見ではお医者様が医学的データやエビデンスに基づいて病気の原因や症状、診断、治療法を分析します。生理学的に異常であることを病気として捉えて対処してくださいます。

カウンセリングでは、クライエント様に自分の病の経験、捉え方、生活状況、感情などを語ってもらい、その主観性や個別性を尊重してお話を伺います。その中で課題を外在化したり、一緒に取り組みや手法を考えることが可能です。

お医者様が検査データや聴き取りをもとに「「今の状況を変えて1日●●カロリーにしてください、●薬を飲んでください」という指示があったとしても、本人にとってはそのことが苦しい場面や取り組めない場合も出てきます。

カウンセラーは、その方の状況や感情を丁寧に聴くことで、簡単には変えられない何かしらの課題(ストレス、仕事、家庭などの背景や環境、食事、運動不足、睡眠障害など)が見えてくることがあります。

医学的知見とナラティブは視点やアプローチが異なりますが、それぞれメリット・デメリットがあります。医学的知見だけでは患者様の心理的苦痛や社会的問題に対応しきれないこともありますし、ナラティブアプローチのカウンセリングだけでは病態や治療効果に対応できないことがあります。医学とカウンセリングをバランスよく統合することで対象者の方のより良い生活に寄与できることがあります。

開業医の先生方の多くは現在も感染症や予防接種をはじめ、大変お忙しくされています。診察が数分で終わったとしても的確な治療法をその場でお伝えしてくださり、その効果はあることでしょう。

自分の今のこの気持ちや状況をわかってほしい、生活習慣を変えたいがなかなか変えられない、どう取り組んだらよいかわからない、話し足りない、自分だけではどうにもならないと感じていらっしゃる方にもカウンセリングをお勧めします。